平成27年12月定例会代表質問・答弁

渡辺 私は、自由民主党山親会を代表して、今定例会に提出されました案件並びに県政一般について質問いたします。

 去る10月5日、本県出身の大村智先生が、科学分野における世界最高の栄誉であるノーベル生理学・医学賞を受賞したという、大変喜ばしいニュースが大きく報道されました。

 大村先生の長年にわたる研究の成果が世界に認められたものであり、本県の出身者から初めてノーベル賞の受賞者が出たことは、山梨県民にとって大きな喜びであり、誇りであります。

 また、大村先生が、ふるさと山梨の豊かな自然と、伸び伸びとした環境の中、このたびの偉業につながる研究者としての基礎を地元の山梨大学において学ばれたということは、若者が地方から都市部に流出する時代にあって、地方の持つ力と魅力を改めて見詰め直す機会ともなり、地方創生に取り組む我々としても、大いに勇気づけられるものであります。

 大村先生の、これまでの御功績に深く敬意を表するとともに、今後ますますの御活躍をお祈り申し上げる次第であります。

 さて、2015年もいよいよ残りわずかとなりました。

 去る9月には、自民党の安倍総裁が再任され、十月には第三次安倍改造内閣がスタートしました。安全保障、TPP協定、消費税増税や地方創生など、重要な課題について、政府のしっかりとした取り組みを望むものであります。

 一方、県政においては、二月に就任された後藤知事は、輝きあんしんプラチナ社会の実現に向けて、今議会に上程されたダイナミックやまなし総合計画や人口ビジョン、総合戦略の策定に着実に取り組まれ、地方創生に向けて、全力で取り組んでこられたところであります。

 人口減少の進展は、静かな有事と言われています。

 人口減少問題に対峙し、持続可能な地域社会を再生していくことは、本県にとっても焦眉の課題であり、我が会派、山親会も、知事とともに、この課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

 私は、これからも知事を支え、全ての県民が明るく希望に満ち、安心して暮らせる地域社会の構築に向けて、全力で取り組むことをお誓いし、以下質問に入ります。

 

後藤知事 ただいまは、自由民主党山親会を代表され、県政各般にわたり御質問をいただきました。

 ノーベル生理学・医学賞を受賞される大村智先生の御功績に触れながら、私のこれまでの取り組みへの御評価とともに、人口減少対策を初めとした地域づくりに、ともに取り組んでいただけるとのお言葉を賜り、心から感謝を申し上げます。

 今後とも、全ての県民が明るく希望に満ち、安心して暮らすことができる輝きあんしんプラチナ社会の実現に向けて、全力で取り組んでまいりますので、一層の御支援、御協力を賜りますようにお願い申し上げます。

◆山梨県まち・ひと・しごと創生総合戦略について

渡辺 現在、我が国が直面する人口急減・超高齢化という大きな課題に対して、各自治体では、それぞれの特徴を生かした自律的で持続可能な社会の創生を目指し、取り組みを進めているところであります。

 こうした中、本年九月、県の人口ビジョンが策定され、人口の現状分析と2060年には定住人口を75万人とする人口の将来展望が示されました。

 人口減少に歯どめをかけるためには、出生数による自然減と、転出超過による社会減を食いとめ、本県の人口減少の要因、課題等を把握し、地域の実情に応じた総合的な施策の展開が求められております。

 今般、この人口ビジョンに描く将来展望を実現するための今後五年間の基本目標や基本的な方向、具体的な施策を示す総合戦略の素案が示されました。

 基本目標として、雇用、人材、人の流れ、子育て環境、地域の五つを掲げ、施策を展開していくとしていますが、二地域居住、旅行者などのいわゆるリンケージ人口についても、拡大を図るとされております。

 リンケージ人口は、人口ビジョンによれば、本県への経済的な貢献度、本県への愛着度、帰属意識度合の点などから本県とつながりを持つ人口と定義されています。

 富士北麓地域においては、別荘の所有者や観光客が多く訪れ、活発に交流が行われております。こうした本県とつながりを持つ方々をふやし、将来的には定住に結びつけていく取り組みを推進していく必要があると思いますが、一方で、県民からは、リンケージ人口という考え方はわかりにくいといった声も多く聞かれております。

 そこで、まず、このような本県の人口の課題等を県民に対して、わかりやすく、丁寧に説明していく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

 また、私は、将来に向けて、活力ある山梨にしていくためには、まず、地域住民の生活を豊かにすることが第一であり、その上で山梨とかかわりのある人をふやし、やがては山梨に定着していただくことが大切だと考えております。

 将来にわたる県民の豊かな暮らしの実現に向けて、今後、総合戦略においては、どのように施策を講じていくのか伺います。

 

後藤知事 人口減少は、地域の活力低下につながることから、本県の人口の現状と将来の姿について、県民に情報を提供し、認識の共有を図った上で、オール山梨で取り組んでいくことが重要であります。

 このため、県では人口ビジョンや総合戦略について、パブリックコメントなどにより、幅広く県民の皆さん方の御意見を伺うとともに、県民向けのフォーラムの開催や県広報紙ふれあい、テレビ等での情報発信を通じ、県民の皆様に関心と理解を深めていただけるよう周知を図ってまいります。

 次に、県民の豊かな暮らしの実現に向けた施策についてのお尋ねですが、本戦略においては、まず地域の皆様が安全・安心に、生涯健康で暮らすことができる活力あふれる地域を目指すとともに、地域の中で安心して子供を産み育てる環境を創生してまいります。

 さらに、地域産業や観光の活性化、二地域居住の拡大を図り、人の流れをつくるなど、総合的に施策を推進することにより、地域住民の豊かさにつなげてまいります。

 こうした取り組みを通じ、全ての県民が将来に向け、夢と希望を持って安心して暮らすことができるよう、全力で総合戦略を推進してまいります。

◆富士山噴火時における市町村避難計画の策定支援について

渡辺 昨年九月に御嶽山において発生した噴火では、山頂付近にいた登山者が噴火に巻き込まれ、大勢のとうとい命が奪われました。

 また、ことしに入ってからも、五月に口永良部島の新岳が爆発的な噴火を起こし、六月には箱根山で小規模な噴火が発生するなど、日本の各地で火山活動が活発化しました。

 こうした中、火山の専門家は、富士山については火山活動の兆候は見られないとしていますが、一たび富士山で大規模な噴火が発生した場合、被害の規模と影響は甚大なものとなることが想定されるため、まずは迅速な避難を行い、地域住民等の安全を確保することが、何よりも重要であります。

 このため、山梨、静岡、神奈川の三県、富士山周辺市町村、国及び火山専門家等からなる富士山火山防災対策協議会において、本年三月に広域避難計画の対策編が策定され、同一県内の市町村への避難、広域避難路の確保や避難所の運営など、基本的な考え方が示されました。

 また、広域避難を実施する市町村は、これを踏まえ、具体的な避難計画を策定し、その策定に当たっては、県がこれを支援することとされたところであります。

 口永良部島では、昨年八月の噴火を契機に防災マップの見直しを行い、避難場所の変更をするなど、綿密な避難対策を講じていたため、五月の噴火では犠牲者を一人も出すことなく、島民全員と観光客のおよそ百四十名が、無事に島外に避難することができたと聞いております。

 最近の相次ぐ火山噴火の状況を見るにつけ、富士山についても、噴火の可能性を否定することはできないことから、各市町村において、可能な限り早期の避難計画の策定が望まれるところであります。

 そこで、県では市町村避難計画の策定について、どのように支援しているのか、また、現在、避難計画の策定状況はどのようになっているのか、あわせて伺います。

 

後藤知事 避難が必要と想定される冨士北麓地域等の七市町村において、計画を策定することとなりますが、そのためには、避難者のための受け入れ先の確保が必要となります。

 このため、県では、避難を行う市町村の御意見を踏まえて、受け入れ先となる市町村に対し、受け入れ可能数調査を実施するとともに、避難所の選定や運営方法など、受け入れにかかわる基本的な事項について、避難実施市町村と受け入れ市町村との調整を進めてきたところであります。

 また、避難計画の策定状況についてでありますが、現在、避難者の受け入れ先や避難路の確保を初めとする避難方法、住民への情報伝達方法など、計画に盛り込むべき骨子が、おおむねまとまったところであります。

 今後は、住民の安否確認や災害時要援護者の避難支援など、さらなる具体的な内容について、それぞれの市町村の実情を踏まえた助言を行うことなどにより、年度内に策定されるよう、引き続き積極的に支援してまいります。

◆地域医療構想について

渡辺 我が国は、高齢化の進展により、平成三十七年には団塊の世代全員が七十五歳以上の後期高齢者となり、医療・介護の需要が最大化すると見込まれています。

 また、高齢化に伴い、肺炎や大腿骨の骨折など、高齢者に多い病気やけががふえるといった疾病構造の変化や、高齢者人口の増加に大きな地域差が生じ、大都市と農村など、地域によって医療需要に違いが生じてくることなどから、これらの問題は医療における二〇二五年問題と言われております。

 国では、こうした超高齢社会の到来を見据え、持続可能な社会保障制度を確立するため、昨年六月に医療法を改正し、各都道府県は、将来における医療提供体制のあるべき姿を示す地域医療構想を策定することとなり、本県においても、今年度から策定に着手していると承知しています。

 本年六月には、先行して政府の社会保障制度改革推進本部に設置された内閣官房の専門調査会が、平成三十七年における必要病床数の推計値を公表しました。それによると、全国で約十五万床から約十九万床を削減可能とする内容のものでありました。

 また、本県でも、十月に平成三十七年時点での必要病床数の推計を行い、現在の八千三百六十八床から一千四百七十三床減少する六千八百九十五床としたところであります。

 高齢化が急速に進み、将来に向けて医療需要が増大する中で、今後も質の高い医療を提供できる体制を継続して確保していくためには、在宅医療等を整備しながら、病床数を適正な数に抑えていくことは、避けて通れないものであります。

 その一方で、高齢化による疾病構造の変化に合わせて、必要とされる病床機能も変わっていくことが見込まれ、県の推計でも、急性期を担う病床数の必要量が大きく減少する中で、回復期の必要病床数は、約一千六百床も不足することが想定されております。

 こうした問題に対応するためには、今ある医療資源を最大限に有効活用し、それぞれの地域において、患者の病状にふさわしい良質な医療サービスを適正に提供できる体制を整備していくことが、何よりも重要であります。

 そこで、県では、将来あるべき医療提供体制をどのように整備していく考えなのか、御所見を伺います。

 

後藤知事 地域医療構想は、団塊の世代が全て後期高齢者となる平成三十七年を想定して、二次医療圏ごとに急性期や回復期などの医療機能別の医療需要と必要病床数を示し、患者の状態に応じて、切れ目なく必要な医療を提供できる体制の構築を目指すものであります。

 現在、二次医療圏ごとに医療関係者や保険者等で構成する地域医療構想調整会議を設置し、人口減少や高齢化による将来の医療需要の変化等の推計を踏まえながら、地域にとって最適な医療提供体制を実現する方策について、協議を始めたところでございます。

 具体的には、将来における医療提供体制のあるべき姿を示すとともに、調整会議において協議を行いながら、必要な病床機能への転換に向けて、地域医療介護総合確保基金などを活用して、各医療機関の自主的な取り組みを促し、目指すべき医療提供体制の実現を図ってまいります。

◆女性の就労支援について

渡辺 去る八月二十八日、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、豊かで活力ある社会の実現を目指すための女性活躍推進法が成立し、この法律に基づき、女性の活躍を推進する際の基本的な考え方を示す基本方針が、九月に閣議決定されたところであります。

 この基本方針では、働く希望があっても、育児等を理由に働くことのできない女性や、出産・育児を機に離職する女性が多い中、我が国が持続的な成長を実現し、社会の活力を維持していくためには、こうした女性の力を最大限に発揮していくことが、極めて重要な課題であるとしています。

 県が、一昨年の三月に取りまとめた少子化対策に係る県民アンケートによりますと、出産を契機に仕事をやめた母親のおよそ半数が、保育サービスが利用でき、働き続けやすい環境があれば、仕事を続けたいと回答しており、県では、このような課題を解決するため、子育てと仕事の両立について、さまざまな施策を講じていると承知しています。

 また、今議会に上程されたダイナミックやまなし総合計画においても、安心して子供を産み育てられる社会づくりを掲げ、二十五歳から四十四歳までの女性の有業率を、平成二十九年度には七六・七五%にまで引き上げるとしております。

 私は、女性にとって働きやすい環境づくりを推進するためには、まずは子育て支援に対する企業の理解・協力が必要不可欠であり、企業に対して積極的にワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを進めるよう支援をし、出産や育児などにより離職を余儀なくされた女性でも、再び社会に出て働きたいという希望があれば、再就職の支援をしっかりと行っていくことが大変重要であると考えます。

 そこで、県では、ワーク・ライフ・バランスの推進や再就職支援など、女性の就労支援に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。

 

後藤知事 本県経済の持続的な成長を実現し、社会の活力を維持していくためには、女性の活躍、特に子育て中の母親の就労支援が重要であります。

 このため、県では、企業経営者の意識改革を図るトップセミナーを開催するとともに、育児休業等についての規程の整備や、多様な勤務時間制度の導入などを支援する専門家を企業に派遣するなど、企業のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを支援しております。

 また、再就職を希望する母親に対しては、その不安を解消するための講座を開講するとともに、昨年、甲府市内のやまなし・しごと・プラザ内に、子育て相談から職業紹介までをワンストップで行う子育て就労支援センターを開設したところであり、開設以来、着実に利用者が増加しております。

 さらに、明年四月、富士吉田市内に、山梨労働局と連携する中で、甲府と同様の機能を備えたやまなし・しごと・プラザサテライトを開設し、富士・東部地域の子育て中の母親の利便性を高めることとしております。

 今後も関係機関と連携しながら、働きやすい職場環境づくりを推進するとともに、女性に対する就労支援の充実に積極的に取り組んでまいります。

◆TPP協定の大筋合意を踏まえた本県農業の振興について

渡辺 平成二十五年三月、日本がTPP協定交渉への参加を正式に表明して以来、およそ二年半、協定の影響が多岐にわたることから、その行方を注視してきましたが、十月の大筋合意を受け、いざ実現が目前に迫ると、今後、どのように対応していったらよいのか、誰もが不安に感じているところであります。

 国が公表したTPP協定による農産物への影響予測においては、米については、関税撤廃の例外を確保したことにより、国家貿易以外の輸入増大は見込みがたいとの見方を示すとともに、牛肉等の畜産物についても、段階的な関税削減とセーフガード措置により、当面、輸入の急増は見込みがたいとしております。

 また、本県の主力品目である果樹や野菜については、多くの関税が即時撤廃されるものの、時期的なすみ分けや、産地ごとのブランドが確立されており、影響は限定的、あるいは、特段の影響は見込みがたいとしておりますが、県内農業への影響を最小限にとどめるためには、十分な対策を講じていく必要があります。

 一方で、本県の農産物は安全・安心であり、高品質で外観もすばらしいことから、世界中のどこに出しても評価されるものと考えております。

 今後、TPP協定に参加する十二カ国を合わせると、人口規模で約八億人、GDP(国内総生産)は三千兆円を上回り、世界の国内総生産のおよそ四割近くを占める広大な経済圏が生まれることとなります。

 このことにより、大きなビジネスチャンスが生まれ、我が国経済の成長につながっていくとの期待の声も上がっており、県内農業の優位性を生かしたプラス思考の取り組みも、これまた重要であると考えます。

 顧みますと、本県農業はこれまで、ガット・ウルグアイラウンド以降の貿易自由化の流れの中でも、農家のたゆまぬ努力によって、産地の維持・発展を図ってまいりました。

 今回のTPP協定の大筋合意も、本県農業発展の一つの契機として、ピンチをチャンスと捉え、県産農産物の市場拡大に積極的にチャレンジし、農家所得の向上につなげていっていただきたいと考えております。

 県においては、今後の農業振興の基本指針となる新たな農業施策大綱を年内に策定することとしており、先月にはその素案を公表したところであります。

 そこで、TPP協定への対応を含め、今後、本県の農業振興にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

 

後藤知事 TPPについては、国内産業や生活全般にさまざまな影響や変化をもたらすものと予測されており、過日、県TPP協定対策本部を設置するとともに、マイナスの影響も懸念される農業分野への対応について、二度にわたり国への要望活動を実施いたしました。

 国では、総合的なTPP関連政策大綱を公表しましたが、県としては、引き続き国の動向等を注視しつつ、農業団体と連携し、必要に応じ、県独自の対策を講じるなど、適切に対応してまいります。

 また、さまざまに情勢が変化する中にあっても、本県農業をさらに発展させていくためには、農産物の高品質化や需要の拡大に積極的に取り組み、農家の経営安定と所得の向上を図っていく必要があります。

 このため、新たな農業施策大綱では、桃やブドウの新品種の導入や、県産農産物を活用した加工品づくりなどを推進するとともに、海外における販売・情報発信拠点の設置やトップセールスの実施など、効果的な販売促進活動を推進していきたいと考えております。

 さらに、新規就農者の確保育成や生産コストの低減など、産地の体質強化を図っていくことにより、本県農業のさらなる振興につなげてまいる所存でございます。

◆世界農業遺産について

渡辺 先般、峡東地域の三市と県が主体となって、峡東地域世界農業遺産推進協議会が設立され、本格的な認定推進活動が開始されました。

 車や電車で東京方面から盆地に抜けると、色鮮やかな桃源郷の景観や、一面のブドウ畑が眼下に広がり、山梨が世界に誇ることのできる大変すばらしい景色であると常々感じております。

 もとより、こうした美しい農村景観は一朝一夕にできるものではなく、長い年月をかけ、地域の方々が農業に懸命に取り組んできた結果であり、次の時代に引き継がなければならないことは言うまでもありません。

 また、このすぐれた景観力・農業力を活用し、本県発展の原動力としていくことも、重要であります。

 春には、一面に広がる桃やスモモの花、夏場の目にも鮮やかな緑、たわわに実る果実、秋には果樹園が色とりどりに紅葉し、初冬には軒先に広がる干し柿の風景と、年間を通じて変化する峡東地域の景観は、実に魅力的な観光資源でもあり、世界に誇る甲州ワインなどと相まって、世界中から多くの観光客を引きつける可能性を秘めています。

 今、富士五湖周辺では、富士山世界遺産登録を契機に、国内外からの観光客が増加し、昨年度の富士・東部地域の観光入込客数が、対前年比四%増の一千三百八十七万人に達するなど、地域の経済や活力増進に大きく貢献しております。

 世界農業遺産の認定に当たっては、すぐれた景観だけでなく、生産面や農業文化、生物多様性など幅広い観点から、世界的な重要性について審査されると伺っておりますが、協議会が中心となって、強力に活動を展開し、ぜひとも認定の実現に結びつけてほしいと願うところであります。

 そこで、来年四月に予定される申請書の提出に向け、どのようなコンセプトで地域の魅力を世界にアピールしていくのか、また、農業分野と観光の連携促進に向けた県の取り組み方針について、あわせて伺います。

 

後藤知事 峡東地域では、年間を通じて質の高い果樹の栽培が行われ、地域一帯の景観は、伝統的な果樹農業によりつくられた世界に誇るべき魅力を有していることから、里地・里山の四季を通じた果樹農業をコンセプトに掲げ、歴史ある農業によって生産される山梨ブランドの果実や美しい農村景観を強くアピールしてまいります。

 また、農業分野と観光の連携については、県産農産物の需要拡大や農家所得の向上を図っていく上で、重要な取り組みであると考えております。

 このため、世界農業遺産の効果が十分に発揮できるよう、認定の実現に向けた取り組みとあわせ、生産者やホテル等で構成するネットワークづくりや、農業体験メニューを開発するためのセミナー開催などを通じて、農業分野と観光の連携促進を図ってまいります。

 今後とも、地元三市や関係団体等と連携しながら、世界農業遺産への認定が早期に実現できるよう、積極的に取り組んでまいります。

◆林業公社の改革について

渡辺 県土の約八割を森林が占めている森林県山梨にとって、森林・林業は大きな役割を果たしてきました。

 とりわけ、昭和四十年から林業公社が行ってきた分収林事業は、個人では森林の整備が困難な民有林を所有者にかわり、公社が整備を行ってきたものであり、本県の森林資源の充実に大きく貢献してきました。

 また、適時適切に管理されてきた分収林は、水資源の涵養や山地災害の防止、地球温暖化防止に資する二酸化炭素の吸収など、森林の持つ公益的、多面的機能の発揮にも、大きく貢献してきたものと考えます。

 しかし、木材価格の長期的かつ大幅な下落や、森林整備にかかる費用の増加等、林業を取り巻く経営環境は全国的に悪化しており、本県の公社においても、将来的な伐採収入では、森林整備に要した借入金の償還の見通しが立たない状況となったことから、県では、平成二十三年十二月に策定した林業公社改革プランにより、平成二十八年度までの五年間で、約五千人の契約者に対して、契約期間の延長、分収割合の見直しと、公社の廃止に伴う分収林管理の県への移管について、同意を得る取り組みを進めているものと承知しています。

 本年度は、五年間の改革プランの四年目を迎え、残すところ一年になろうとしている中で、契約者の世代交代が進み、同意を得ることに相当の労力を要していると聞いております。

 そこで、現在の契約変更の取り組み状況について、まず伺います。

 また、公社は廃止となっても、その後の分収林はこれまでと同様に、適切に管理していくことが大変重要であり、将来にわたって健全な状態で引き継いでいく必要があると考えます。

 改革プランでは、木材生産を目的とした林業経営と、公益的機能の維持増進が両立できる管理手法への転換のため、県が分収林を承継し、県有林と一体的に管理していくとされていますが、円滑に移管していくために、現在どのように取り組みを進めているのか伺います。

 

林務長 まず、現在の契約変更の取り組み状況についてでありますが、三千三百七十七件の契約案件のうち、本年十一月末現在で六六%、二千二百二十六件について契約変更が完了しています。

 また一九%、六百三十二件については、改革プランに同意をいただいておりますが、相続登記がされていないなどの理由により、契約変更ができない状況で、残り一五%、五百十九件は現在、交渉を進めているところでございます。

 相続登記がされていない契約者については、司法書士による個別相談の実施等、早期に契約変更ができるよう相続手続に関する支援を行うとともに、交渉中の契約者に対しては、引き続き丁寧な説明により御理解を得られるよう努めてまいります。

 次に、分収林の移管に向けての取り組みについてでありますが、現在、林業公社では、県が遅滞なく業務を引き継げるよう、移管後五年間に伐採時期を迎える森林の状況や、境界の確認作業を行っているところです。

 あわせて、分収林の適切な管理のためには、県有林との一体的な管理による効率的な事業の実施を通じて、林業経営と公益的機能の維持増進の両立を図る必要があることから、県では、間伐等の保育や伐採の手法、施業の委託等に関する方針を本年度中に作成するなど、分収林事業が円滑に移管できるよう取り組んでまいります。

◆マイナンバー制度について

渡辺 先月から、本県においても、マイナンバーの通知カードの配達が始まり、各世帯に届けられているところですが、年明け一月から、いよいよ社会保障や税などの行政手続において、マイナンバーの利用が開始されます。

 マイナンバー制度は、複数の行政機関等に存在する個人の情報が、同一人の情報であることを確認するための基盤であり、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公正公平な社会を実現するための社会インフラであります。

 この制度の導入によって、住民にとっては、各種行政手続における添付書類の削減など、手続の簡素化による負担軽減が、また、行政機関等においては、複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるなど、業務の効率化が期待されております。

 しかし、こうしたマイナンバー制度の導入効果については、国・県のホームページやパンフレット等により広報されておりますが、同一人の個人情報を各機関の間でやりとりする情報連携の全体像が複雑で、わかりにくいこともあり、私の周囲からは、通知カードを受け取ったものの、「制度がよくわからない」「自分の番号がどのように使われるのか」「個人情報は漏えいしないのか」といった声が、特に高齢者の方から多く聞かれます。

 マイナンバー制度を円滑に運用していくためには、住民にその趣旨や内容について十分に理解をいただき、不安を払拭し、制度に対する信頼を高め、丁寧な周知により、制度の浸透を図っていくことが肝要であります。

 そこで、マイナンバー制度の周知について、県はどのように取り組んでいるのか。また、今後の周知についてどのように考えているのか、所見を伺います。

 

企画県民部長 これまで県では、ホームページによる情報提供を初め、住民や事業者向けの説明会の開催、イベントでのPR活動などを通じて、制度の概要やスケジュール、個人情報の保護対策等の周知に努めてまいりました。

 これらに加え、県政出張講座においては、参加グループの皆様との対話を通じて、身近な疑問などにもお答えするとともに、高齢者が多く参加する講座では、年金や介護など、実際にマイナンバーを利用する場面の例示や、詐欺まがいの行為等への注意喚起を織りまぜたわかりやすい内容とするなど、丁寧な説明に努めてきたところであります。

 また、住民にとって、より身近な自治体である市町村に対しても、職員向けの制度説明会の開催や広報紙等に活用できる資料の提供など、地域住民に向けた周知の支援を行っております。

 今後においても、引き続き、国や市町村、関係機関と連携し、さまざまな媒体や機会を活用しながら、丁寧な周知に取り組んでまいりたいと考えております。

 明年一月のマイナンバー利用開始後も、こうした周知を継続的に行い、住民の皆様の不安の解消と理解の増進に努め、制度の円滑な運用を図ってまいります。

◆「やまなしパワー」による山梨の活性化について

渡辺 現在、国において、電力システム改革が段階的に進められており、明年四月には、その第二弾として、小売と発電が全面自由化となり、電気事業者は、発電事業者、送配電事業者、小売電気事業者に再編されることになりました。

 特に発電の自由化においては、県営電気事業についても、売電先の選択肢が広がり、東京電力以外への売電も可能となり、既に東京都や新潟県は、自由化に先駆け、一般競争入札により、新電力に売電をしています。

 また、自治体の中には、山形県や秋田県鹿角市、福岡県みやま市のように、地域エネルギー会社を起こし、電気の供給主体として事業を始めたところも出てきています。

 こうしたことから、私は、企業局の電気事業についても、電力システム改革を好機と捉え、これまでの概念にとらわれない新たな発想も必要ではないかと感じておりました。

 折しも、知事は、去る十月二十七日、東京電力との間で、やまなしパワーの運営に関する基本協定を締結し、明年度から県内企業へ、通常の電気料金よりも安い価格で電力を供給することを発表されました。

 県と東京電力が、電力供給ブランド「やまなしパワー」を共同で運営することにより、安価な電力供給を受ける企業だけでなく、県と東京電力にもメリットがあるということは、全国初の画期的な取り組みと高く評価するものであります。

 そこで、さまざまな選択肢が考えられる中で、今回、電力供給ブランド「やまなしパワー」を創設し、東京電力と共同で運営することとした考え方をまず伺います。

 また、この新たな仕組みにより、県内企業に活力を与えるとともに、県内への企業誘致を図るとのことですが、明年四月の自由化を控え、さまざまな事業者の小売への参入、電力会社との連携による割引等が報道されるにつけ、やまなしパワーによる電気料金の負担軽減が、企業の新規立地や県内企業の事業拡大に大いに効果を発揮するよう期待するものであります。

 そこで、やまなしパワーによる電気料金減額の考え方と、減額により、企業がどのようなメリットを受けることができるのか、あわせて伺います。

 

 

後藤知事 まず、やまなしパワーを創設し、東京電力と共同で運営することとした考え方であります。

 電力システム改革により、発電事業者は自由に売電先を選択できるようになりますが、企業局は、東京電力との長期契約が平成三十五年度までとなっているため、その解消には多額の補償金を必要とし、また、計画した電力量を確実に発電しなければならないため、強力なバックアップ電源を確保する必要もあります。

 こうした課題を克服するとともに、県内企業等に安価に電力を供給し、本県経済の発展につなげるためには、東京電力と協力して、新たな仕組みを創設することが最も適当と判断し、やまなしパワーを共同で運営することとしたものです。

次に、やまなしパワーによる電力料金減額の考え方と、減額による企業のメリットについてであります。

 やまなしパワーによる安価な電力供給を本県経済の活性化につなげるためには、電気料金の減額にめり張りが必要であると考えており、電力量料金について、県内への立地企業や経営拡大企業には六%、既存企業には三・五%の減額とする考えであります。

 また、やまなしパワーにより、新たに県内への立地や経営拡大を行う企業は、契約電力二千キロワット未満で最大七百万円程度、既存企業では、契約電力五百キロワット未満で最大七十万円程度、年間の電気料金が減額になると試算しております。

 やまなしパワーは今後、山梨が活性化する原動力の一つとなると確信しており、そのメリットにより、県内への企業立地や事業拡大を促進し、本県の発展に努めてまいります。

 

◆東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿等誘致の取り組みについて

渡辺 ことし九月から行われた第八回ラグビーワールドカップ・イングランド大会において、日本代表は、大会史上初の予選プール三勝という大活躍を見せ、日本のスポーツ史に新たな一ページを刻みました。

 中でも、世界ランク三位の南アフリカ代表との試合は逆転勝利となり、地元メディアをして「ワールドカップ史上、最大の衝撃である」と言わしめ、日本中に大きな感動を与えるなど、改めてスポーツの持つすばらしさを実感することができました。

 さて、全員が自己ベスト、多様性と調和、未来への継承を基本コンセプトとする二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会まで、いよいよ五年を切りました。

 平成二十五年九月に東京での大会開催が決定して以降、本県でも推進本部を設置し、これまで事前合宿等の誘致に向けた取り組みを進めてきていると承知しております。

 事前合宿の誘致は、地域への経済効果ばかりでなく、地元の青少年に、世界各国の選手との交流を通じて、海外やスポーツへの関心を高める貴重な機会となり、また、独自の文化や歴史といった地方都市の持つ魅力をPRする絶好の機会ともなります。

 先月の新聞によれば、東京大会に向け、お隣、静岡県ではモンゴルのレスリングと柔道の合宿が決まり、また、神奈川県では、アフリカのエリトリアと、陸上や自転車の合宿を行う協定書を交わしたとのことであります。

 大会組織委員会が、各国に向けた広報活動を始めるのは来年夏以降と聞いておりますが、静岡、神奈川の両県が、既に誘致を内定しているとのことであり、本県も、合宿誘致に向けた施設整備も検討しながら、ぜひ、積極的な誘致を進めていただきたいと思います。

 明年夏のリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックが終わると、東京大会の事前合宿等の誘致に向け、いよいよ全国の自治体の動きが本格化することが見込まれております。

 そこで、本県における事前合宿等誘致に対し、今後どのように取り組んでいくのか所見を伺います。

 

教育委員会委員長 まず、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿等誘致の取り組みについてであります。

 東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿等の誘致活動をより効果的、効率的に推進するためには、誘致を働きかける相手国や競技を絞り込むことが肝要であります。

 このため、現在、海外の競技団体がキャンプ地に求める競技施設や宿泊施設の条件などに関するニーズの調査を行っており、調査結果は、受け入れ主体となる市町村にも提供し、それぞれの誘致活動に役立てていただくこととしております。

 また、本県の競技施設と地域の魅力を世界に向けて発信できるよう、画像と多言語によるコンテンツを作成しているところでもあり、今後、大会組織委員会が公表する国内キャンプ候補地ガイドや県ホームページなどに掲載することとしております。

 このほか、市町村や競技団体などと連携し、全国知事会が運営する施設紹介ウェブサイトを通じた情報発信や、競技関係者への働きかけなど、誘致活動の充実を図るとともに、知事を本部長とする東京オリンピック・パラリンピック推進本部において全庁的な連携を図りながら、事前合宿等の誘致実現に向け、取り組んでまいります。

 

渡辺 オリンピック・パラリンピック東京大会の事前合宿と誘致について、一点、質問したいと思います。

 先ほど御答弁いただきました。しかし、取り組みについては、一斉に始まるというようなことがありますけれども、いち早く、まず、この事前誘致に動いていただきたいという思いがあります。また、外国の選手ばかりではなくて、国内の競技も、また非常に大事かなと思いますけれども、その辺の誘致の考え方がありましたら、お願いしたいと思います。

 

教育委員会委員長 特に競技団体におきましては、人的なつながりもございますので、そういったところも含めながら、迅速な形で進めさせていただきたいと思っています。

 また、国内の団体につきましても、北京の陸上のときに、日本の陸上協会が北麓を使っていただいておりますので、そういった実績をもとに、さらにそれが続けられるように、あるいはほかの競技も来ていただけるような取り組みを進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

◆小中学校のいじめ防止対策について

渡辺 ことし七月に岩手県矢巾町で、中学二年の男子生徒がいじめを苦に自殺する事件があり、十一月には名古屋でも、いじめが原因で、中学一年の男子生徒が自殺するという大変痛ましい事件が続きました。

 未来ある子供たちが、いじめを苦に、みずから命を絶ったという報道に接するたびに、本人の苦悩や、最愛の子供を失った親族の気持ちを察すれば、胸が痛くなり、他人事とは思えません。

 いじめは、どの子供にも、どの学校でも、学校の内外を問わず起こり得るものであります。初めはささいなものであっても、何度も繰り返されたり、多くの者から集中的に行われたりすれば、次第に被害者の子供を精神的に追い詰め、最悪の事態を招きかねません。

 本県においても、平成二十五年に制定されたいじめ防止対策推進法に基づき、県内の全ての学校において、いじめ防止の基本方針を作成し、取り組みを進めていると承知しております。

 しかしながら、ことし十月に公表された児童生徒の問題行動調査によれば、平成二十六年度の本県のいじめの認知件数は、二千四百件を超えており、大変憂慮すべき状況にあります。

 私は、いじめの防止のためには、子供たちの最も身近にいる教員が、児童生徒の助けを求めるSOSをいち早く発見し、早い段階で学校が組織的に対応することが最も肝要であると考えますが、いじめの早期発見、早期対応に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。

 かつては、地域の大人が、自分の子も他人の子も区別なく、時には厳しく、時には優しく成長を見守り、次代の宝である子供たちを地域で育てる、よき山梨の風土がありました。

 今の時代、いじめの防止は学校に任せがちでありますが、教員や学校だけの問題ではなく、家庭はもとより、地域全体の問題として捉え、いじめをなくすという機運を高めていくことや、地域の人材を活用して対応していくことが必要だと考えております。

 そこで、いじめ防止に向けて、学校と地域が連携した対策にどのように取り組んでいくのか伺います。

 

教育委員会委員長 まず、いじめの早期発見、早期対応についてであります。

 県下全ての小中学校で策定された学校いじめ防止基本方針に基づく各学校における教員研修の実施や、教員が個々の児童生徒と面談する機会をふやすなどの相談体制の整備により、いじめのささいな兆候に気づくようになったり、児童生徒が教員に相談しやすくなるなど、いじめの早期発見につながっております。

 また、いじめを発見したときには、全ての教員が情報を共有し、共通理解を図り、早い段階からスクールカウンセラーなどと連携しながら、いじめの解消に向けて、学校全体で適切な指導と支援に取り組んでおります。

 次に、学校と地域が連携したいじめ防止対策については、学校評議員会や地域の懇談会などにおいて、いじめ防止についても協議するとともに、児童生徒の地域での様子について情報交換を行うなど、地域全体で児童生徒を育てていけるよう、学校、保護者、地域の方々の連携の強化を図ってまいります。

 以上でございます。

 

◆県内における高齢ドライバーの交通事故防止対策について

渡辺 ことし十月、宮崎県において、認知症などの治療を受けていた高齢者が軽自動車を運転中、歩道を約七百メートルにわたって暴走し、歩行者二人が死亡、四人が重軽傷を負うという大変痛ましい交通事故がありました。

 また、事故に至らないまでも、認知症の高齢者が高速道路を逆走する事件など、近年、高齢ドライバーをめぐる交通事故の報道を目にする機会が大変ふえたと感じております。

 車社会の現代においては、高齢者にとっても、生活をする上で、車は欠かせないものでありますが、加齢等により、視力や反射神経などの身体機能が衰えたり、認知機能が著しく低下しているにもかかわらず、車の運転を続けることは、本人だけでなく、周囲を巻き込んだ大きな事故につながりかねない大変に危険な行為となります。

 社会の高齢化が一層進展する中で、高齢ドライバーによる交通事故を未然に防止することは重要な課題であり、道路交通法に基づき、認知症など一定の病気がある場合の免許の継続可否を判断する制度が、既に導入されております。

 また、こうした制度に加え、運転免許を自主的に返納する制度も整備されており、ここ数年、免許を自主返納する高齢者も増加していると承知しております。

 そこで、まず、県内において、認知症を有する高齢者に対して、免許の継続可否を判断する制度が、どのような状況で運用されているのか伺います。

 また、高齢者が運転免許の自主返納制度を有効に活用していくことは、交通事故の未然防止の観点からも、大変意義あることであり、同制度を高齢者やその家族、さらには広く県民に周知し、制度の活用を促進する必要があると考えますが、県警察としてどのように取り組まれているのか伺います。

警察本部長 まず、認知症の高齢者による運転免許継続の可否を判断する制度についてでございますが、七十五歳以上の方が免許を更新する際に、講習予備検査を義務づけております。その結果等により、認知機能の低下が著しいと認められる場合におきましては、専門医による検査や主治医の診断書の内容を踏まえまして、継続の可否を判断しているところでございます。

 県警察におきましては、本年十月末までに、認知症が疑われる方、五十三名を把握しております。このうち二十名が免許の取り消し、あるいは自主返納によりまして運転を取りやめるに至っております。このほか多くの方々について、免許継続の可否を審査中でございます。今後、免許の継続可否を判断すべき高齢者の方々の大幅な増加が予想されますことから、制度を適切に運用できますように準備を進めてまいりたいと存じます。

 次に、免許の自主返納制度に関する取り組みについてでございます。

 県警察では、事故の当事者となった高齢者宅への戸別訪問や交通安全教育、自治体や関係団体が発行する広報紙への掲載など、さまざまな機会や方法で、制度の周知と活用の促進を図っております。こうした取り組みによりまして、本年十月末までに、前年同期を上回る一千三百九十一人の高齢者が自主返納をされておりますが、県内で免許を保有する高齢者総数の約一%にすぎない状況でございます。

 そうした中、県内では、これまで多くの自治体で山梨県コミュニティバスやデマンド交通など、高齢者の利便性を高める代替交通手段の導入が進められているところから、県警察といたしましては、代替交通手段の導入整備について、さらに自治体への働きかけを継続いたしますとともに、導入整備が進捗している地域を中心に、高齢者の自主返納を促進する取り組みを粘り強く推進してまいる所存でございます。